千葉実験所について

試験溶鉱炉

東大生研大型共同研究成果概要のまえがきから

当試験高炉は昭和29年に文部省より機関研究費の交付を受け建設を開始し,翌30年に鉄鋼製錬研究の画期的新設備として完成された。以来28年の長期にわたり高炉プロセスの解明と製銑技術の前進のための研究手段として活用し,日本鉄鋼業の発展期にはその中心的課題の解決に積極的に取組み,それについて有形無形の成果を納め今日にいたっている。
 生産技衝研究所は工学の全分野を包含する多数の研究部門から成っているが,その総合的研究機関としての特色を十分に発揮し,これまでわが国の工学並びに産業の発展に多大の貢献をしてきた。当試験高炉の研究においても,昭和37年に当所の特色を生かして様々な専門分野の研究者により構成される試験溶鉱炉委員会が組織されるに及び,高炉の自動化と各種センサーの開発が推進され,それによる高炉の多角的な計測技術の進展が日本鉄鋼業に少からず影響を与えてきたことの意義は大きい。
 一方,昭和39年日本鉄鋼協会内に試験高炉委員会が発足し,日本鉄鋼業から物心両面における多面的な援助を受けるにいたったが,この組織は産学協同による研究の推進に重要接役割を果した。この間試験高炉は29回の操業を重ね,研究を多面的に行い,それと並行して各種の基礎研究も行ってきた。また各種設備や試験装置の改良・増設も数多く行われ,試験高炉とその付帯設備はいまや初期の姿をとどめないまでに変貌した。
 これまでの研究の成果についてはすでに多くの報告にまとめられているが,設備や装置に関しては未報告のものも少く結い。そこで今回はその欠落部分を補完する目的で,設備と装置に視点を置いて本稿をまとめることにした。巨大化した現代の鉄鋼産業にとって,今後省資源・省エネルギーを中心に新たな鉄鋼製錬プロセスの研究も一段と強められることになると思われるが,その点で本報告がいささかでも役に立っことを心から希望するものである。

試験高炉の歴史年表

     記事
1955年(昭和30年) 3月 試験高炉・千葉市弥生町1〜8に完成
3〜4月 第1次操業実施・炉底破れ、熱風炉破損など続出
8月 第2次操業実施・RI検尺計の採用
1955年創設当時の高炉設備全景
1955年創設当時の高炉設備全景

1955年創設当時の高炉外観
1955年創設当時の高炉外観
デッキの下に環状管がつりさげられて、これから下に降りているのが羽口の支管で、写真では2本、裏にもう2本ある。

第一次改造後の試験高炉外観
第一次改造後の試験高炉外観
全鉄皮式となっているほか、環状管、羽口支管などが初期に比べて細くなり、保温されている。

1956年(昭和31年) 8月 第3次操業実施・操業安定化条件を確立
1957年(昭和32年) 3〜4月 第4次操業実施・湯溜吹精法適用による本格的試験閑栓
8月 第5次操業実施・装入均一化対策としてターンテーブル設置
1958年(昭和33年) 3〜4月 第6次操業実施
8月 第7次操業実施
1959年(昭34和年) 3〜4月 第8次操業実施
8〜9月 策9次操業実施・生産高炉の燃料(重油)吹込み導入に先立って、
羽ロヘのガス吹込試験を行う。
1959年の高炉外観
1959年の高炉外観
デッキの直下に見える煉瓦績が環状管保温用断熱煉瓦、その下の白い垂直管が羽口支管で保温用の外皮がしてある。

1960年(昭和35年) 3〜4月 第10次操業実施・熱風炉、原料処理設備を除く主設備の大改造を行う
(高炉本体、全鉄皮式になる)
1961年(昭和36年) 3〜4月 第11次繰業実施・ガスクロマトグラフを炉頂ガス分析へ適用
5月 金森九郎教捜・富士製鉄へ転出につき、代って雀部高雄教授が
運営にあたる。
1962年(昭和37年) 3月 所内に「試験溶鉱炉委員会」を設置
3〜4月 第12次操業実施・計器室の総合管理操作センター化をはかる。
8月 第13次操業実施・生鉱の使用を全廃し、100%自溶牲娩結鉱使用へ
切替える。
1963年(昭和38年) 3月 第14次操業実施・高温・酸素富化送風による高負荷操業で
コークス比1.0以下に低下
8月 第15次操業実施
1964年(昭和39年) 2月 所内・試験溶鉱炉委員会で、研究テーマを「高炉の総合自動化」とする旨決定。この方針に沿って、炉内に「高炉自動化専門委員会」を設ける。
3〜4月 第16次操業実施・装入原料自動計量装置の新設、オープナー、マッドガンの装備、赤外線ガス分析計の採用などが成される。
8月 日本鉄鋼協会内に「試験高炉委員会」を設置。
1965年(昭和40年) 原料貯歳槽の新設及び旧原料処理設備の配置替え工事を行い、原料処理系統の自動化をはかる。
1966年(昭和41年) 7〜8月 第17次操業実施・送風機の回転数制御方式導入による送風量の一定管理や中性子水分計の導入によるコークス水分の測定管理など強化。
1967年(昭和42年) 6月 雀部教授・病死により、舘充教授が運営にあたる。
7〜8月 第18次操業実施・半導体ゲージによる炉内圧力・徽圧振動の測定を開始。
1968年(昭和43年) 7〜8月 第19次操業実施・製鉄メーカーの希望で各種耐火煉瓦の比較使用及びブラジル鉱石の使用を試みる。
1969年(昭和44年) 7〜8月 第26次操業実施
1970年(昭和45年) 高炉本体の改造及び蓄熱式熱風炉の新設工事を行う。
(高炉は内容積0.83m羽ロ3本に変化)金属材料技術研究所より鋳鉄機の払い下げを受け、これを設置
アルミナペブル充填蓄熱式熱風炉外観
アルミナペブル充填蓄熱式熱風炉外観(1970年)
炉頂にバーナーが取り付けられている。
そのすぐ下の水平管は二次空気管、中央下部に熱風弁が見られる。

1971年(昭和46年) 3〜4月 第21次操業実施
8月 第22次操業実施
1972年(昭和47年) 7〜8月 第23次操業実施
1973年(昭和48年) 7〜8月 第24次操業実施・装入回路の改修により、層状装入方式を採用
1974年(昭和49年) 7〜8月 第25次操業実施・炉内観察、囲液試料採取などの充実をはかる。
1975年(昭和50年) 8月 第26次操業実施
1977年(昭和52年) 7〜8月 第27次操業実施
1979年(昭和54年) 7〜8月 第28次操業実施
1981年(昭和56年) 7〜8月 第29次操業実施
1981年の高炉設備全景
1981年の高炉設備全景

1993年の高炉設備全景
1993年の高炉設備全景

出銑作業の様子
出銑作業の様子

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